井上 尚美さん(あん訪問看護・介護ステーション 代表)

障害がある子どもとサービスをつなぐ「駆け込み寺」。産前産後のママや障害児のママの困り事に寄り添います
「子どもが産まれて育児に不安があったり、子どもに障害があったりして、”誰かに助けてもらいたいけれど、どうしたらいいかわからない” というママたちの力になりたいんです」と話すのは、「あん訪問看護・介護ステーション」代表の井上尚美さん。
高齢者の介護を必要とする方とサービスをつなぐ“ケアマネージャー”という仕事はよく知られていますが、障害がある子どもとサービスをつなぐ仕事はあまり知られていません。どうやってサポートしてくれるサービスとつながったらいいか分からない、そもそも助けてもらえることを知らないという方が多いです。
そんな井上さんが同施設をオープンしたのは、ある出来事がきっかけでした。

「本人だけでなく、その家族のケアも大事にしたい」。自身の壮絶な経験から施設のオープンを決意
井上さんの夫は4年間の闘病の末、共に過ごした家で最期を迎えました。「夫本人はもちろん一番つらかったと思いますが、家族である私や子どもたちも、わらにもすがりたい気持ちになった時や涙があふれそうになった時がありました」と井上さん。
その時に、困っている本人はもちろん、その家族のケアも大事にしていける場所を作りたいと思った経験が、「あん訪問看護・介護ステーション」の設立と深く関わっているそう。そんな井上さんの思いの通り、同施設では、障害を持つ子どもとその家族、赤ちゃんと産前産後の母親、さらには施設で働くスタッフにも寄り添っています。

2023年6月にはデイサービスもオープン。リハビリテーションのスペシャリストが各施設に在籍!
「障害の重さに関わらず、お子さまが安心して健やかに過ごせる場所を作りたい」と、2023年に「あん放課後デイサービス」を池田市にオープン。もともと看護師が常駐している訪問看護ステーションからスタートしたこともあり、重度の障害がある医療的ケア児も受け入れています。さらに、リハビリのスペシャリストである、「言語聴覚士」「理学療法士」が、ステーション同様、デイサービスにも在籍しており、子ども一人ひとりの能力に応じた適切な訓練を行うことができます。
施設の目玉である大きなお風呂にはストレッチャーが連結していて、寝ころんだ姿勢のまま、機械の操作で浴槽に浸かれます。これなら力を使わずにすむので介護者の負担が減ることはもちろん、子どもを安全に入浴させることができます。このお風呂を楽しみに通っている子や、「おうちでお風呂に入れるのは大変なので、入浴があるからここに通わせているんですよ」という親御さんも。


利用者さんだけでなく、同施設で働くママにも寄り添う職場環境も魅力的
「あん」では子育てしながらでも自分らしく働ける環境が整っています。「ならし保育があるので午前中のみ」「習い事の送り迎えがあるので早退」などもOK。子どもの発熱など急なお休みもみんなでフォローし合っています。
「子どもが二人交互に熱を出し、最初の頃は毎週のようにお休みをいただいていましたが、周りのスタッフの皆さんは“お互い様だよ”と言ってくださり、いつも助けてもらいました。長く続けていきたいと思える職場に出合い本当によかったです!」とママスタッフの職場環境への評判も上々です。
「とにかく話を聞いてほしいというだけでも大丈夫です。24時間OK、ショートメールだけでもいいので、まずは連絡してくださいね」との井上さんの言葉に、温かいお人柄が垣間見えます。施設の様子はInstagramからもチェックできます。

〈ステーションのご案内〉
あん訪問看護・介護ステーション
〒562-0051
箕面市桜1-2-50
電話/072-747-7818
ホームページ
https://anne-grace.com/